フランスでも高い評価を誇る漫画家・高浜寛さんの新作はデュラスの代表作『愛人』

『苦悩』が再販されたばかりのマルグリット・デュラスの代表作『愛人(ラマン)』が、なんと高浜寛さんによって漫画化されます!!!

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高浜寛さんといえばフランスでも人気の漫画家で、連載中の『ニュクスの角灯』をはじめ、その画力と豊かな創造性で高い評価を集めています。

フランス領ベトナムを舞台に中国人青年との禁じられた性愛に浸る少女は、かつてのデュラス自身とされる自伝的な作品。
「流れるエクリチュール」という言葉に象徴される流麗な文体にデュラスの魅力が詰まっています。

『愛人』はジャン=ジャック・アノーによって映画化もされていますが、先日、高浜先生のブログで公開されたカットはまさに『愛人』の世界そのもの!
デュラスの世界観が、高浜先生によってどのように表現されるのか、興味はつきません。

マルグリット・デュラスの名著『苦悩』が新装版で再販!

フランスを代表する女性作家、マルグリット・デュラスの『苦悩』が新装版で再販されました! 

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2019年2月から公開される映画『あなたはまだ帰ってこない』の原作としての再販ですね。映画の予告編はコチラ(↓)

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フランス領ベトナムを舞台に、少女と中国人青年との性愛を扱った自伝的な作品『愛人(ラマン)』で、ゴングール賞をとったデュラス。

 

1984年、すでに70歳になっていた老境の作家に対し、(日本で言えば芥川賞のような)新人向けの賞が与えられたことも話題となりました。

 

後にジャン=ジャック・アノー監督によって映画化されたことでも有名ですが、デュラス自身は映画の出来に満足していなかったと言います。

デュラスといえば、その初期作品は独特の描写の富に優れており、アラン・ロブ=グリエクロード・シモンナタリー・サロートといった面々とともに「ヌーヴォー・ロマン」を牽引する一人と見なされていました。

 

しかしその中期において、脚本を務めたアラン・レネの映画『ヒロシマ・モナムール二十四時間の情事)』や、自身の映画製作を通じ、作品から描写は限りなく削られ、やがて言葉は台詞と舞台のト書きのような説明だけに切り詰められていきます(その代表作が『破壊しに、と彼女は言う』)。

 

そこから再び、流麗な描写をともなって、かつスキャンダラスな愛が描かれたのが『愛人』だったわけですが、その翌1985年に発表された『苦悩』は同じく自伝的な作品で、ナチスに囚われていた最初の夫(ロベール・アンテルム)が奇跡的に帰還してからの生活が生々しく綴られています。


「最初の夫」というのもデュラスには二番目の夫(ディオニス・マスコロ)がいて、彼はロベール・アンテルムの親友だったのです。

 

アンテルムと生き別れ憔悴していたデュラスを支えたのがマスコロで、
再会を諦めかけていた旦那が生還することで生じた奇妙な三角関係の元、強制収容所という極限体験を経て生還した一人の人間の姿が、何とも言えない距離感で描かれていきます。

 

特に、生還してからのアンテルムが見せるどう猛な食欲や睡眠欲といった原初的な欲求のありようが、誇張や反復を交えたデュラス特有の文体で描かれる一節は、読者を惹きつけて離さない精彩を放っています。

 

尚、『苦悩』の中に収められた「オーレリア・パリ」は、映画と文学との往還を重ねた作家の魅力が凝縮された掌編なので、こちらも是非ご一読を。